お正月はもちろん、子どもの卒園式から入学式、結婚式などでも活躍する着物。
着物に袖を通したあとは、みなさんどんなケアをしていますか。訪問着などはすぐに洗い張りをしたり、クリーニングをする方が多いと思いますが、普段着なら自宅で洗える着物もあるんです。
今回は着物を自宅でケアする方法についてまとめました。
目次
着物ってお手入れ方法がわからない…
着物を着る機会がないとお手入れ方法がわからない方が多いのではないでしょうか。
デリケートな素材が多い着物は、脱いだ直後にまずは汚れていないか確認します。特に汚れやすい部分は下記のような部分です。

- 掛衿(かけえり)
もっとも汚れやすい部分で顔周りの汗や化粧がつきやすい - 袖口(そでぐち)
外側と内側に汗や皮脂・アカなどがつきやすい - 前身頃(まえみごろ)
食事をしたときなどに食べこぼしがつきやすい - 胴裏(どうら)や八掛(はっかけ)などの裏地
夏場や暖房が効いた場所にいたときなどに汗ジミがつきやすい - 裾(すそ)
砂ぼこりや泥はねの汚れやスレができやすい
それぞれいろんな汚れがついているので、ますますどうやってお手入れすればいいのかわからないですよね。
着物は自宅で洗える?
実は着物のなかには自宅で洗えるものもあるんです!
自宅で洗濯できる着物は、基本的に普段着用で「洗濯表示(絵表示)」に手洗いマークがついているものです。
洗濯表示については、新洗濯表示の意味は?よく見るマークを分かりやすく解説!でチェックしてくださいね。
裏地がなく透けない素材で作られた単衣(ひとえ)仕立てで、木綿やウールの天然素材、ポリエステルなどの化学繊維で作られた着物であれば自宅で洗濯できるものもあります。
着物や肌襦袢・足袋の洗い方
着物を自宅で洗う場合の洗い方について、リネットお洗濯アンバサダーの近藤さんにうかがいました。
着物を着るときに欠かせない肌襦袢や足袋なども、綿素材でできているものであれば自宅で洗濯できるので、その洗い方もご紹介します。
着物の洗い方
1. 着物を「そでたたみ」する
そでたたみの方法は、浴衣のお手入れ方法としまい方のコツでチェックしてくださいね。
2. 着物を洗濯ネットに入れて洗濯機に入れる
洗濯ネットはたたんだ着物がぴったり入るサイズを用意します。
3. おしゃれ着洗剤を入れてドライコースで洗濯する
ウールの着物はウールが洗える洗剤を使用してください。洗浄力の高いアルカリ性の洗剤は色落ち・色移りをすることがあるので避けましょう。
普通コースなど強い力で洗濯すると形崩れの原因になるため注意してください。
4. 和服用のハンガーにかけて干す
直射日光のもとで干すと変色の原因になるため、必ず陰干ししてください。
洗うときの注意
洗濯できる着物であっても、洗う前には色落ちしないか必ず確認しましょう。タグがないものや素材が分からない場合は、購入先に問い合わせて確認することをおすすめします。
ただし、正絹の着物、絞りや刺繍などの装飾があるもの、裏地のある袷(あわせ)仕立ての着物は水につけるだけで生地が縮んだり、色移りや変色をする可能性がありますので、自宅での洗濯はNG。
特に晴れ着や訪問着、アンティーク物など高価な着物は、自宅での洗濯は避けてプロにお任せしましょう。
肌着類や足袋の洗い方
- 目立つ汚れは中性洗剤や洗濯石鹸などをつけてから洗濯機に入れる
- 洗濯洗剤を入れて普通コースで洗う
- 脱水をして形を整えて干す
刺繍など装飾のあるものはおしゃれ着洗剤で手洗いをしましょう。絹素材のものはクリーニングに出すことをおすすめします。
着物に染みがついたら、どうすればいい?
外出先で着物に染みをつけてしまったときは、慌てずに広げないように応急対処をします。
帰宅したら染みごとにそれぞれの方法を試してみてください。
何の染みか分からないものや、キレイに取れない染みは、できるだけ早くプロにお任せしましょう。
応急処置の仕方
応急処置の手順1:汚れをはじいて布で吸い取る
指先やハンカチの先で汚れをはじいて落とします。そのあと染みが広がらないように、ハンカチで吸い取って応急処置をします。
応急処置の手順2:染み抜きをする
- 化粧品・インクなど(油性の染み)
着物についた染みの下に布を敷き、白い綿のガーゼにアルコールかベンジンを含ませてトントンと優しく叩き、布に染みを移していきましょう。 - お茶やお酒・調味料など(水性の染み)
着物についた染みの下に布を敷き、食器用の中性洗剤を水で15倍に薄めたものをたっぷり含ませます。歯ブラシや白い綿のガーゼでトントンと優しく叩いて、布に染みを移していきましょう。 - チョコレート・バター・マヨネーズなど(油性+水性の染み)
油性の染み抜きをしたあとに、水性の染み抜きをしましょう。
着物の染み抜きでやってはいけないこと
染みをこする
着物に摩擦を加えると生地が傷み、染みが取れにくくなるので注意してください。
おしぼりで染みを拭く
レストランなどのおしぼりはアルコールなどの薬品が含まれていることがあり、変色の原因になります。応急処置は持参したハンカチを使用しましょう。
着物をクリーニングに出すときの注意点
着物の主な汚れは皮脂やホコリ、汗やカビです。特に汗やカビを残すと染みや変色の原因になります。
見た目に汚れがなくても、一度袖を通したらすぐに着る予定がない場合はクリーニングに出すことをおすすめします。
クリーニング店でよく見かける「丸洗い」は主に皮脂やホコリの汚れを取る方法です。
汗やカビを取るには「水洗い(洗い張り)」が必要です。「洗い張り」とは、着物をほどいて水で洗う方法のこと。水で洗うことで生地の不純物も落とすことができるので、着物がみちがえるほどキレイになります。
晴れ着や訪問着、アンティークの着物など、正絹のものや絞りがあるものは必ずクリーニングにお任せしましょう。自宅で洗濯すると縮みや色移りの原因になります。
「着物専用コース」があるお店では、どんな方法で洗うのかを確認して出しましょう。
着物はどう保管するのがベスト?
着物を洗ったあとに重要なのが保管方法です。正しい手順をマスターして、大切な着物を美しく保ちましょう。
保管手順1:着物を「本だたみ」する
本だたみの方法は、浴衣のお手入れ方法としまい方のコツでチェックしてくださいね。
保管手順2:たたんだ着物を畳紙(たとうし)に入れる
「着物専用保存袋」があれば畳紙ごと入れて保管します。
保管手順3:タンスに入れて四隅に防虫剤を入れる
通気性の良い桐ダンスがおすすめです。桐ダンスがない場合は乾燥剤を入れ、必ず手順4の虫干しを行います。防虫剤は専用のものを1種類だけ使用し、直接触れないようにしましょう。
保管手順4:虫干しをする
年3回(7月下旬〜8月上旬、9月下旬〜10月中旬、1月下旬〜2月中旬)が理想ですが、最低でも年1回は寒干しを行いましょう。
晴天が続いた日に陰干しを4時間程度行い、染みや変色、虫食いがないか確認してください。
ここまで着物の洗い方・保管方法について紹介しましたが、心配な方はクリーニングにお任せするのも安心です。
宅配クリーニング「リネット」なら24時間ネットで受付でき、自宅から出ずにクリーニングが完結します。時間・労力がかからない上に自分の生活リズムに合わせて利用できます。ぜひ、検討してみてください。
着物の洗い方を正しく知って、トラブルなくきれいに着よう
着物を自宅で洗う方法や染みの対処法、保管方法をご紹介しました。
自宅で洗いたい場合は、必ず洗濯表示を確認して洗える着物かどうかをチェックしましょう。形崩れなどを防ぐためにデリケートコースを利用することが大切です。染みがついた場合には種類別の応急処置を行ってください。
保管時は専用アイテムや虫干しを活用して湿気や害虫から守りましょう。高価な着物や正絹など自宅で洗えないものは、着物クリーニングに出すことをおすすめします。