2016年12月から新しくなった洗濯表示。新しい洗濯表示をみて、洗濯方法を迷ったことはありませんか? 見たことがない洗濯表示ばかりでとまどうことも多いのではないでしょうか。
そこで新洗濯表示の見方と、洗濯表示通りに洗濯しなかった場合のトラブル例を、リネットお洗濯アドバイザーの近藤さんに聞きました。
この記事を監修した人
リネットお洗濯アドバイザー 近藤高史
クリーニング歴20年以上のクリーニング師。クリーニング会社の工場長を経て、2014年よりリネットの品質管理部門の現場責任者。メディア出演多数。趣味はランニング大会に出ること。
「クリーニングのプロの視点から、衣類をずっとキレイに保てるお洗濯やお手入れの方法をご紹介します!」
目次
洗濯表示は水洗いもクリーニングもOK。どうやって洗えばいい?
複数の洗い方が表記されている衣類は、実は意外と多いんです。どの洗濯方法を選ぶかは、衣類の状態で判断しましょう。
洗濯もドライクリーニングも可能
ドライクリーニングに向いている衣類
デザイン性の高いシャツやワンピース、レースのついたブラウスやスカート、型崩れしやすそうなものはドライクリーニングがおすすめです。
水洗いに向いている衣類
型崩れの心配がないものは、おうちの洗濯機で頻繁に水洗いするのがおすすめ。皮脂や汗など見えない汚れもついているので着用したら水洗いしましょう。判断が難しいものは、クリーニング店に相談しましょう。
水洗いもドライクリーニングも不可
毛皮や海外輸入品などは、ドライクリーニングも水洗いもできません。自分で判断できないので、クリーニング店のプロに相談しましょう。
また、旧表示の輸入品は、日本の基準で洗濯表記を付け直しているものもあります。
海外と日本では洗濯方法が異なることから食い違いのある洗濯表示もあるので、疑問を感じたときもクリーニング店のプロに確認しましょう。
新洗濯表示には、絞り方や洗剤の表示がありません。どうすればいいのでしょう?
新洗濯表示のなかには、以前あった絞り方や洗剤など表記されなくなったものがあります。
代わりに具体的なケア方法が書かれた「付記用語」が表記されるようになりました。洗濯洗剤の指定から、脱水・乾燥、アイロンやクリーニング、取り扱いに関することまで、より詳しいケア方法が表記されています。以前はあった表示が見あたらないときは、付記用語を確認しましょう。
手洗いの記号の場合は洗剤はおしゃれ着洗いを使うの?
付記用語に「中性洗剤(おしゃれ着洗い)」の指示がなければ、普段使っている洗剤でOK。特定の洗剤が禁止の場合があるので見逃さないようにしましょう。
絞り方の強さはどうしたらいいの?
旧表記にあった絞る強さの指示はなくなり、こちらも付記用語で表記されるようになりました。「弱くしぼる」や「絞らずに軽く水気を切って干してください」などの指示がないかチェックしてみましょう。
洗濯表示通りにケアしないとどうなる?
そもそも衣類に洗濯表記があるのは、素材の傷みや型崩れを防ぐためです。水洗い禁止のものを家庭で水洗いすると縮んでしまったり、色落ちや色移りをしてしまうことがあります。また、アイロンの温度設定を間違えると生地を傷めたり、溶けてしまうこともあります。洗濯表示はきちんと確認して、指示を守ってケアすることが大切です。
「水洗い不可・クリーニング可能」の衣類を洗ってしまうとどんな事故がありますか?
衣類によって事故は変わってきますが、水洗いをしても何も起こらないものもあります。ただし、洗った直後は何もなくても、乾燥後に生地が傷んでしまう場合もあるため、洗濯表示通り洗うようにしましょう。
- スーツ(ウォッシャブルではないもの):伸縮・型崩れ
- セーター:伸縮・風合いの変化
- レーヨン:濡れた状態で摩擦が起きると繊維が毛羽立って白くなる可能性がある
漂白剤の酸素系と塩素系を間違えて使ったらマズイですか?
塩素系漂白剤を「色柄もの」に使うと、全体や部分的に色が白く抜ける可能性があります。
塩素系は「白もの」にしか利用できません。「色柄もの」を漂白するときは、必ず酸素系漂白剤を使いましょう。
乾燥機を使ってはいけない衣類を乾燥機にかけてしまった……
水洗いをしたセーターなど動物の毛を、乾燥機にかけるとフェルト化してしまいます。糊付けしている装飾品がついた衣類は、糊とともに剥がれほかの衣類に付着して、固まる恐れがあるので洗濯後に乾燥機にかけるのは避けましょう。
乾燥機のなかは水分や湿気が飛んでいるので、静電気が起きやすい環境です。白ものと黒ものウールやニット類を一緒に洗濯したり乾燥機にかけると、お互いに毛が付着し合って取りづらくなります。
シワ加工やプリーツ加工のある衣類も、乾燥機にかけると加工が取れてしまうことがあるので自然乾燥をしましょう。
「自然乾燥で平干し」の衣類なのに平干ししなかった……
平干しの指示があるのは、伸縮しやすい衣類です。洗濯バサミやハンガーに吊るして干すと、伸びてしまう可能性があるので、平干しが推奨されています。
「濡れ干し」が指示されているものを絞ってしまった
綿や麻でできた衣類に多い「濡れ干し」の付記用語。絞ると強いシワを作る原因になります。
麻でできた衣類は、水分を含んだ重みで引っ張りながら干すとシワができにくくなります。脱水したときよりも強いシワができてしまったときは、アイロンでシワを伸ばしましょう。
アイロンの温度設定を間違えてかけてしまった
指定された温度より、低い温度設定なら衣類のダメージはほぼありません。
一方、高い温度設定だと、テカリが出たり、変色をしたり、生地が溶けてしまう可能性があります。アイロンをかける前は、必ず付記用語を確認しましょう。
クリーニング表示いろいろ種類があるけどどうしたらいい?
新洗濯表示は洗濯に関することだけではなく、クリーニング表示の種類も増えています。
「P」「F」「W」がついているものは、クリーニングに関する表記です。この3つの違いについてチェックしておきましょう。
パークロロエチレンや石油系溶剤によるドライクリーニングができる
石油系溶剤によるドライクリーニングができる
ウェットクリーニングができる
特に「W」は、これから衣類を新調するときにおすすめの表示。本来ならドライクリーニングをするべき衣類を、水洗いすることで汗などの水溶性の汚れをしっかり落としてくれるクリーニング方法です。
コートやスーツなども、実は汗汚れがつきやすいものです。ドライでも落とすことはできますが、しっかり汗汚れを落としたいならウェットクリーニングがおすすめです。汚れの蓄積も防止できるので、臭いやカビ、生地の劣化を防ぐこともできます。
新洗濯表示の見方を覚えて、洗濯のトラブルから衣類を守ろう
新洗濯表示の見方と、洗濯表示通りに洗濯しなかった場合のトラブル例をご紹介しました。
新洗濯表示は、旧洗濯表示に比べて、衣類のより詳しいケア方法が記されています。また、洗濯表示通りに洗濯しないと色落ちや形崩れなどのトラブルが発生しやすくなってしまいます。衣類の生地やデザインのダメージを防ぐための表示なので、指示通りにケアをするのがベストですよ。