洗濯の知識

ドライクリーニング・水洗いの違いとは?工程や使い分けを詳しく解説

クリーニングには大きく分けて「ドライクリーニング」と「ランドリー(水洗い)」という2種類の洗い方があります。クリーニング店では、お洋服に合わせてそれぞれ適した方法を使い分けているんです。

そこで、ドライクリーニングとランドリー(水洗い)の洗い方の違いを、リネットお洗濯アドバイザーの近藤さんに聞きました。

この記事を監修した人

リネットお洗濯アドバイザー 近藤高史

クリーニング歴20年以上のクリーニング師。クリーニング会社の工場長を経て、2014年よりリネットの品質管理部門の現場責任者。メディア出演多数。趣味はランニング大会に出ること。

「クリーニングのプロの視点から、衣類をずっとキレイに保てるお洗濯やお手入れの方法をご紹介します!」

ドライとランドリー(水洗い)、クリーニングの工程はどう違う?

ドライクリーニングとランドリー(水洗い)では、洗い方にどのような違いがあるのでしょうか。リネットでのクリーニング工程について、近藤さんに教えてもらいました。

ドライクリーニング

ドライクリーニングは一切水を使わず、有機溶剤でお洋服を洗います。有機溶剤で洗うことで油性の汚れをよく落とすことができます。型崩れなどを防ぎ、お洋服への影響を最小限にしたお洋服に優しい洗い方です。

ランドリー(水洗い)

ランドリー(水洗い)は、洗剤と水を利用する洗い方です。汗や飲み物、果汁などの食べこぼしといった水溶性汚れをよく落とすことができます。

ドライとランドリー(水洗い)の工程の違いをみてみよう

ドライクリーニングとランドリー(水洗い)の工程の大きな違いは、「洗浄工程」と「乾燥工程」にあります。

1:仕分け

クリーニングするお洋服は、洗う前に洗濯表示タグを基準にドライクリーニングするものとランドリー(水洗い)するものに分類されます。
ドライクリーニングもランドリー(水洗い)も可能なものは、汚れやお洋服の状態によって分けられます。

ワイシャツなど、肌に直接触れて体から分泌される汚れがついたお洋服は「ランドリー(水洗い)」、コートなど肌には直接触れず外からついてしまう汚れがついたお洋服は「ドライクリーニング」といったように、汚れの状態によって最適な洗い方を選びます。

2:洗浄

ドライクリーニングとランドリー(水洗い)はそれぞれ専用の洗濯機を使って洗浄します。それぞれのの主な違いは、2つ。有機溶剤を使うか水を使うかと、温度です。

ドライクリーニングは有機溶剤を使用しますが、有機溶剤は熱を加えることができません。お洋服の色落ちやプリントが剥がれやすくなります。それだけではなく、温度が高くなりすぎると引火してしまう可能性もあるので、通年20〜24度に温度が保たれています。

ランドリー(水洗い)は洗剤と水を使って洗います。ランドリー(水洗い)するお洋服の代表格・ワイシャツは生地も強く、皮脂汚れなどのガンコな汚れも多いので40〜50度の設定で洗ったり、温度をかけてしまうと色落ちするものは常温設定で洗ったりと、それぞれお洋服の種類や状態によって設定を変えています。

3:乾燥

洗浄が終わったら、ドライクリーニングしたお洋服・ランドリー(水洗い)したお洋服ではそれぞれ乾燥時間が異なるので、別々の乾燥機にかけていきます。さらにお洋服によっても乾燥時間が違うので、同じくらいの時間で乾くものでまとめてかけていくんです。

クリーニング工場で使っている乾燥機には「厚物・薄物」といった設定が分かれているので時間の設定は特にありません。とはいえ、同じダウンジャケットでも中のダウンの量によって乾くまでの時間が違うので、乾いていなければ追加で乾燥します。

ちなみに、乾燥する際は、ドライクリーニングもランドリー(水洗い)も温度設定は一緒です。乾燥まで終わったお洋服はドライクリーニングもランドリー(水洗い)も一緒になって仕上げられ、お客様のもとへ届けられます。


ワイシャツは乾燥機にかけない

ワイシャツは洗浄が終わったらそのまま仕上げの工程に入ります。濡れた状態でアイロンでプレスする方がしっかりシワを伸ばすことができるので、乾燥機にかけずにそのまま仕上げてしまいます。

おうちでのお洗濯でも完全に乾かしたものをアイロンがけするよりも、多少水分を含んだ状態のほうがキレイにシワを伸ばせます。ご自宅でのアイロンがけについては、アイロンのかけ方3ステップをご覧ください。

ドライクリーニングと水洗いの違いについて詳しく知りたい方は、ドライクリーニングと水洗いの違いと、洗い方を選ぶためのポイントをチェックしてくださいね。

ウェット加工・汗ぬき加工はどういうときに選ぶべき?

クリーニング店で「ウェット加工」や「汗ぬき加工」というオプションを見たことがある方もいるのではないでしょうか。これは、洗濯表示では水洗いできないお洋服もプロの技でランドリー(水洗い)するオプション。

通常、クリーニング店では洗濯表示に従って最適な洗い方を選んでいるので、注文するときに洗い方を選ぶ必要はありません。しかし、ウェット加工・汗ぬき加工をすることでさらに着心地を保てるお洋服もあるんです。

ウェット加工は、ドライクリーニングとランドリー(水洗い)で2回お洋服を洗います(※)。

ランドリー(水洗い)をすることで、ドライクリーニングだけでは落としきれなかった汗などの水溶性の汚れを落とすことができるので着心地が軽くなります。ニオイの元もとってくれるので、焼肉や飲み会の席でガンコなニオイのついてしまったお洋服にもおすすめです。

(※)店舗によってはランドリー(水洗い)だけを行うこともあります。

ニットでもウェット加工(汗ぬき加工)したほうがいい場合も

ウェット加工(汗ぬき加工)を選ぶときは、汗などの水溶性汚れや湿気が蓄積しやすいかどうかがポイント。水溶性汚れが蓄積すると、繊維が硬くなってゴワつきの原因になってしまうんです。ウェット加工(汗ぬき加工)をおすすめしたい衣類は以下のとおりです。

ダウンジャケット

ダウンの保温性が落ちてきたなと思ったら、ウェット加工(汗ぬき加工)をつけるとよいでしょう。ダウンジャケットは着用を繰り返すうちに中のダウンが汗や湿気を吸ってしまい保湿性を失ってしまいます。ランドリー(水洗い)することでダウンの保温性を持続させることができるんです。

もしご自宅でダウンジャケットを洗うなら、ダウンジャケットの洗濯方法と注意点をご覧ください。

スーツ

スーツは長時間着る上に夏になると汗をたくさんかくこともありますよね。染み込んでしまった汗が蓄積すると、汗ジミや黄ばみの原因になってしまいます。汗の蓄積はニオイの原因になってしまうことも。たくさん汗をかいたなと思ったら、ウェット加工(汗ぬき加工)をつけるようにしてみてください。

ご自宅で洗えるスーツを洗うなら、洗えるスーツの洗い方と注意すべきポイントをご覧ください。

セーター

実はセーターもウェット加工(汗ぬき加工)したほうがいいお洋服。冬は厚着をしていると気づかないうちに汗をかいています。知らない間に水溶性汚れが蓄積し、ゴワゴワセーターになってしまうこともあるんです。風合いが変わってきたと思ったら、ウェット加工(汗ぬき加工)を試してみてください。お家で洗えるセーターは定期的にランドリー(水洗い)してあげるとよいでしょう。

ご自宅でセーターを洗うなら、セーターやニットを縮ませない正しい洗い方・干し方と保管方法をご覧ください。

ドライクリーニング・水洗いなどの工程を、衣類によって使い分けている

ドライクリーニングとランドリー(水洗い)、2種類の洗い方と工程の違いをご紹介しました。

ドライクリーニングは有機溶剤を使って、ランドリー(水洗い)は水と洗剤を使って洗う方法です。クリーニング店では、洗濯表示タグや衣類の状態に合わせて、ドライクリーニングかランドリー(水洗い)かを選んで、適切な洗い方を判断してくれます。

また、衣類によってはドライクリーニングとランドリー(水洗い)のいいとこ取りをした、ウェット加工(汗ぬき加工)オプションを付けるとよいですよ。

  • この記事を書いた人

リネットマガジン編集部

リネットマガジンの編集・執筆担当。面倒くさがりの「ナマケモノ」ゆえに、効率よく省エネで生きることには熱心。 お洗濯がメンドクサイと思っている仲間のために、「時短で、ラクに、キレイになるリアルに使える洗濯術」を紹介しています。

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