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クリーニングで撥水加工できる!市販の撥水スプレーとの違いを実験

コートやダウンジャケットなどのアウターや、スキーやスノボウェアなど、雨や雪などに濡れやすい衣類に市販の撥水スプレーを使う方も少なくないはず。最近ではクリーニングでも撥水加工を施してくれるサービスがあり、利用している人も増えています。

となると、気になるのが、撥水スプレーとクリーニングの撥水加工との違い。どちらがより効果があるのでしょうか?実際に検証してみました。

撥水スプレーとクリーニングの撥水加工、何が違う?

撥水(はっすい)とは水を弾くという意味。つまり、撥水スプレーや撥水加工を施した衣類は水を弾くことができるということです。

樹脂が繊維を覆って、フッ素が油や水を弾くイメージです。

撥水スプレーにもクリーニングの撥水加工にも水を弾く成分が含まれていますが、一般的に撥水スプレーに比べるとクリーニングの撥水加工で利用する撥水剤の方がフッ素分子が大きいとされています。

フッ素樹脂でコーティングする際に、その分子が大きいと繊維に入り込めなくなるので、その分クリーニングの撥水加工のほうが撥水効果が高いとされています。また、クリーニングの場合は全体を乾燥機で熱しますので、フッ素が平らに馴染んで、より水を弾きやすくなると言われています。

ちなみに、防水加工と撥水加工の違い

そもそも撥水加工ってなんでしょう?

撥水と似た言葉に「防水」があります。防水とは文字通り水が入ってくることを防ぐという意味。水を染み込ませたくない衣類に防水スプレーを吹きかけたり、防水加工を施すと水が浸透するのを防ぐことができるのです。

水の浸透を防ぐことができるという点では撥水スプレーや撥水加工よりも効果が高いのですが、その分通気性が悪くなるというデメリットがあります。

撥水スプレーとクリーニングの撥水加工の違いを実験

用意したもの

まず、市販の撥水スプレーは、よく売っている大手の会社のものを使いました。

Tシャツ3枚(コットン100%の肌触りなめらかな白いTシャツ)を用意して、1枚はそのまま、1枚には撥水スプレーを、1枚には撥水加工を施しました。

左:そのまま/中央:撥水スプレーをかけたTシャツ/右:クリーニングの撥水加工を施したTシャツ

注意1:通常、汗を吸い取るTシャツには撥水加工はおすすめしていません。今回はあくまで撥水効果を実証するために行いました。 

注意2:撥水スプレーは換気の悪い場所で噴霧すると、加工剤を吸い込んで呼吸困難に陥ってしまうおそれがあるほど有害なので、屋外で人がいないところでスプレーするようにしましょう。

そのままのTシャツ

水をかけます。

一瞬、水を弾いているように見えますが、、、

やはり、すぐに染み込んでしまいました。

完全に染みこんでます。Tシャツですから吸水性は良いですね。

撥水スプレーをかけたTシャツ

たっぷり撥水スプレーをかけて乾かしたTシャツに、水をかけていきます。

水が水玉のようになって、弾いている感じがします。

あれ?でもしばらく経つと染みこんでしまいますね。綿100%のTシャツでは、やはり無理があったのでしょうか。

クリーニングの撥水加工を施したTシャツ

水をかけます。

水が玉のようになって、浮いたままに!

時間を置いても、水玉のまま。染みこんでいきません

もちろん、ただの紙には吸収されていきます。紙ではふき取れても、撥水加工されたTシャツには吸水されません。

試しに、ワインも垂らしてみました。

白いTシャツにワインをこぼしたら、普通ならシミになってしまいますが……こちらの続きは動画でご覧ください。撥水加工の効果がはっきりとわかります!

https://www.youtube.com/embed/MYHQMR3Ef0U

撥水加工のQ&A

Q:撥水加工はどのくらいの期間持つ?

撥水加工は生地にコーティングを行う加工なので、着用回数・着用状況・保管方法によって大きく異なります。一概にどのくらい持つのかお伝えしづらいのですが、次を目安にしていただければと思います。

着用頻度が高い場合(普段使い)

撥水効果を確認しながら、1〜2ヶ月に1回位を目安に撥水加工をしましょう。

着用頻度が低い場合(着用が1ヶ月に1回位)

撥水効果を確認しながら、1シーズンに1〜2回位を目安に撥水加工をしましょう。

Q:撥水加工のメリットは?

撥水加工は、雪・雨に濡れても水分が生地まで浸透しにくい部分だけでなく、生地にコーティンングを行う加工なので、先ほどの赤ワインの動画の様に汚れが付着しにくいというメリットもあります。

ウインタースポーツで使うアイテムは勿論、普段でもお気に入りで頻繁に着たいが汚したくないアウターなどにも撥水加工はおすすめです。リネットの宅配クリーニングなら、玄関まで取りに伺いますので自宅にいたままクリーニングが(オプションで撥水加工も)できます。

Q:撥水スプレーとクリーニングの撥水加工は、なぜ違いが出るの?

撥水スプレーとクリーニングの撥水加工ではフッ素樹脂の分子の大きさの違いもありますが、クリーニングの場合は、全体を乾燥機で熱しますので、フッ素が平らに馴染んで、より水を弾きやすくなるんです。

Q:撥水スプレーをかけた後ドライヤーで熱を加えたら、撥水効果が高くなるのでしょうか?

撥水スプレーを吹きかけただけの状態よりはある程度効果は出ると思います。

ただ、クリーニングの撥水加工の場合は、加工剤を衣類にかけた後に大きな乾燥機でまんべんなく熱を加えるので、やはり撥水スプレーに比べると効果は大きく違ってきます。

Q:クリーニングの撥水加工はどんな衣類におすすめでしょうか?

なんといっても、撥水加工はアウターにおすすめです。

新品で買ったダウンやコートは、まず撥水加工を行うと汚れも汗もつきにくく、雨や湿気にも強くなるので、お洋服が長持ちします。特に高級なアウターにはぜひ撥水加工をやったほうがいいと思います。

あと、雪に触れるスノボウェアやスキーウェアは絶対に撥水加工をやっておいたほうがいいですね。子ども服やご主人のズボンにも撥水加工しておくと安心です。

クリーニングで撥水加工をした服は着用していて擦れてしまうと、その効果が薄れてしまいます。どうしても擦れてしまう部分には、撥水スプレーをすると効果が長持ちしますよ。

Q:逆に撥水加工をおすすめできないのはどんな衣類でしょうか。

「ニット系、セーター(獣毛系)」は樹脂なので固くなるため、風合いを損なうので避けた方がベターです。そのかわりにリファイン加工を施せば、つやと油膜を加えることができるので、多少水を弾くようになります。

「合成皮革(ポリウレタン、塩ビ)」はもともと撥水機能があり、撥水加工の効果が分かりづらいためおすすめしていません。

「ブラウス、シャツ類など肌に密着する衣類」もおすすめできません。撥水加工を施すと水分をはじいてしまうため、汗を吸いにくくなってしまいます。

より水や汚れを弾きたい衣類には、クリーニングの撥水加工がおすすめ

市販の撥水スプレーとクリーニングの撥水加工の効果の違いをご紹介しました。

効果を実際に比べてみると、クリーニングの撥水加工の方が市販の撥水スプレーよりもより水を弾く結果に。クリーニングの撥水加工は乾燥機で熱を加えることで、より効果が大きくなります。また、撥水加工はアウター類につけるのがおすすめ。ニットやセーター、ブラウス、シャツに撥水加工をつけるは避けましょう。

  • この記事を書いた人

リネットマガジン編集部

リネットマガジンの編集・執筆担当。面倒くさがりの「ナマケモノ」ゆえに、効率よく省エネで生きることには熱心。 お洗濯がメンドクサイと思っている仲間のために、「時短で、ラクに、キレイになるリアルに使える洗濯術」を紹介しています。

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