「ちゃんと洗ったはずなのに、なんだか雑巾みたいなニオイ…」。タオルや部屋干しの洗濯物にただよう、あの不快な生乾き臭。一度ついてしまうと、何度洗ってもぶり返してしまうこと、ありませんか?
実はこのニオイの正体は、「モラクセラ菌」という菌が出す物質だということが、花王と愛知学院大学の共同研究で2011年に明らかになっています。
今回は、リネットお洗濯アンバサダー・近藤さん監修のもと、原因菌を根本から減らす洗い方と、ニオイを発生させない干し方のコツをご紹介します。
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この記事を監修した人

リネットお洗濯アドバイザー 近藤高史
クリーニング歴20年以上のクリーニング師(国家資格)。クリーニング会社の工場長を経て、2014年よりリネットの品質管理部門の現場責任者。メディア出演多数。
趣味はランニング大会に出ること。
「クリーニングのプロの視点から、衣類をずっとキレイに保てるお洗濯やお手入れの方法をご紹介します!」
メディア出演
- 2025年5月17日(土): TBS「カバン持ちさせてください!」
- 2025年4月24日(木): 日本テレビ「news every.」
- 2025年4月24日(木): テレビ朝日「グッド!モーニング」
- 2025年4月23日(水): TBS「Nスタ」
目次
なぜ生乾き臭は発生するの?
生乾き臭の原因は、衣類に残った「モラクセラ菌」が皮脂や汗をエサにして増えるとき、ニオイのもとになる物質(4M3Hという脂肪酸)を出すこと。私たちの身の回りどこにでもいる菌です。
やっかいなのは、この菌が乾燥や紫外線にも比較的強いということ。菌の周りに「バイオフィルム」というバリア(いわゆる菌の巣)を作ってしまうため、普通に洗って天日干ししただけでは死ににくく、繊維の奥に潜んだまま、湿気を得るたびにニオイをぶり返させます。
「ちゃんと洗ってるのに臭う」「乾いてるときは大丈夫なのに、汗をかくと臭う」というご相談をよくいただきます。これは、繊維に残ったモラクセラ菌が、水分を得て再び活動しているサインなんです。
菌が増える3つの条件
モラクセラ菌は、次の3つがそろうと増えやすくなります。どれか1つでも断ち切れば、ニオイの発生はかなり抑えられます。
- 水分:濡れた状態が長く続く
- 栄養:皮脂・汗・洗剤の残りカス
- 温度:20〜40℃前後(ちょうど室温くらい)
つまり対策は、「しっかり汚れを落とす × 早く乾かす × 菌に熱を加える」の3本柱です。
生乾き臭を消す洗い方3つ
1. お湯+酸素系漂白剤でつけ置き【白物衣類に一番効果が高い】
すでにニオイがついてしまった衣類には、これが一番おすすめ。モラクセラ菌は熱に弱いので、お湯と酸素系漂白剤(粉末タイプ)の組み合わせで、まとめて対処します。
やり方
- バケツや洗面器に、約60℃のお湯を張る
- 水4リットルに対して、酸素系漂白剤(粉末・過炭酸ナトリウム)大さじ1杯を溶かす
- 衣類を入れて、20〜30分ほどつけ置き(フタやプチプチなどの気泡緩衝材で覆うと温度をキープしやすい)
- その後は通常通り洗濯機で洗う
つけ置き時間は素材や水温の下がり方で変わります。20〜30分はあくまで目安。気になる場合は少し長めにとっても構いません。
注意点
- 必ず洗濯表示の「液温の上限」を確認(ウール・シルクなど熱に弱い素材はNG)
- 色柄物には絶対に使用しないでください(理由は後述します)
- 塩素系漂白剤と絶対に混ぜない
2. 酸素系漂白剤を加えた通常洗い【日常の予防に】
毎日の洗濯に、酸素系漂白剤をプラスするだけ。本格的に困っていない段階なら、これだけでもニオイ予防には十分です。市販の「部屋干し用洗剤」の多くに除菌成分が入っているのも、同じ考え方です。
40℃前後のぬるま湯で粉末タイプ(過炭酸ナトリウム)を使うと、より効果的です。
プロからの重要なお願い:色柄物への漂白剤使用は原則避けて!
色柄物のお洋服に使用されている染料の中には、金属成分を含んでいるもの(含金属染料)があります。この金属成分と酸素系漂白剤が反応すると、急激な分解が起きて生地が脆くなり、ボロボロに穴があいてしまうという事故につながる恐れがあります。
どの染料が使われているかは見た目では絶対に判別できないため、プロの現場でも色柄物への漂白剤使用は原則避けています。ご家庭でも、色柄物への漂白剤のご使用はお控えください。
3. セスキ炭酸ソーダを入れた洗濯【ナチュラル派の予防策】
セスキ炭酸ソーダは皮脂汚れを落とすのが得意。菌のエサを減らすことで、ニオイの発生を抑えてくれます。水量30リットルに対して大さじ1杯のセスキ炭酸ソーダを、40℃ほどのお湯に溶かして、いつも通り洗濯するだけ。
殺菌力は強くないので、すでに発生してしまったニオイには、方法1がおすすめです。
コラム|重曹で代用できる?
重曹は水に溶けにくく、お湯で溶かしても洗濯中に温度が下がると再結晶化して溶け残り、すすぎ不良につながりやすいです。
それに対して、セスキ炭酸ソーダは水にとても溶けやすいため、冷たい水でも溶け残りの心配がほとんどありません。さらに重曹と比べてアルカリ性が強いので、皮脂汚れを落とすパワーも上なんです。
そのため、リネットではセスキ炭酸ソーダをおすすめしています。
ちなみに消臭スプレーはニオイを一時的に隠すだけで、原因菌そのものは残ったまま。汚れが残った部分にスプレーすると輪ジミになることもあるので、根本対策としては洗い直しのほうが確実です。
「5時間」の壁をクリアする干し方
生乾き臭を防ぐ最大のポイントは、洗濯後できるだけ早く乾かすこと。湿った状態が長く続くほど、菌は元気になります。一般には「5時間以内に乾かす」のが目安と言われています。
コツ1:洗濯が終わったらすぐに干す
洗濯機の中に放置するのが一番のNG。終了アラームが鳴ったら、なるべく早く干しましょう。ハンガーは肩幅より太めのものを使うと、衣類の内側にも風が通ります。
コツ2:扇風機やサーキュレーターで風を当てる
部屋干しが臭うのは、空気が動かず乾きが遅いから。扇風機やサーキュレーターを下から斜め上に当てると、湿気が一気に飛びます。エアコンの除湿や除湿機との併用もとても効果的です。
コツ3:「アーチ干し」で空気の通り道を作る
ピンチハンガーで干すときは、外側に長いもの・内側に短いものを並べる「アーチ干し」が定番。下に空間ができて、空気の流れがぐっと良くなります。衣類同士の間隔は、こぶし1個分以上あけるのがコツです。
なお、デニム・パーカー・バスタオルなど、衣類のタイプ別に最適な干し方を画像付きでまとめた部屋干しのメリットとは?洗濯物が臭わない干し方のコツ4選もあわせてご覧ください。
コツ4:厚手・乾きにくい衣類は無理せずプロへ
ダウン、コート、厚手のニット、布団など、家庭でなかなか乾ききらないものは、生乾き臭の温床になりがち。乾かしきれない素材を無理に部屋干しするよりも、プロのクリーニングに任せたほうが、結果的に長くキレイに着られます。
洗濯機の中もキレイにしておこう
どんなに正しく洗っても、洗濯槽自体にカビや菌が繁殖していたら台無しです。月1回を目安に、洗濯槽クリーナー(酸素系または塩素系)でお手入れしましょう。
普段からできることは、以下の3つです。
- 使い終わったらフタを開けて、槽の中を乾かす
- 投入口や糸くずフィルターを週1回ほど掃除する
- 洗濯物を洗濯機の中に長時間ためない
これだけで、ニオイの再発はぐっと減ります。上の3つに加えて「洗剤ケースの掃除」もおすすめです。洗濯機のお掃除テクは洗濯機のお手入れ方法でご紹介しています。ぜひチェックしてみてください。
生乾き臭のよくある質問
Q1. 一度ついてしまったニオイは、普通の洗濯で取れますか?
冷たい水と液体洗剤だけでは、繊維に残った菌までは落としきれないことが多いです。 白物の衣類に限定されますが、60℃前後のお湯+酸素系漂白剤でつけ置きするのが、もっとも確実な方法です。
色柄物は、染料に含まれる金属成分と漂白剤が反応して生地に穴があく危険があるため、絶対に使用しないでください。
Q2. 柔軟剤の香りでニオイは消せますか?
香りで一時的にマスキングはできても、原因菌そのものは残ります。 むしろ柔軟剤の入れすぎは、繊維に成分が残って菌のエサになることもございます。
規定量を守るのが正解です。
Q3. 天日干しすれば紫外線で菌は死にますか?
モラクセラ菌は紫外線にも比較的強いため、天日干しだけでは菌を完全に死滅させるのは難しいとされています。 「素早く乾かす」効果はあるので、風通しの良い日陰干しでも十分です。
Q4. ドラム式洗濯機の乾燥機能ではダメ?
機種によります。 ヒートポンプ式は約60〜65℃と、菌対策にはやや力不足な場合もあります。 ヒーター式は約80℃まで上がるので、より効果が期待できます。 素材によっては縮みのリスクがあるので、洗濯表示の確認をお忘れなく。
まとめ|「水分・栄養・温度」のどれか1つを断つ
生乾き臭の原因は、菌の増殖です。 対策のポイントは、以下の3つです。
- 洗う:60℃前後のお湯+酸素系漂白剤で、菌をしっかり減らす(※白物衣類限定。色柄物への使用は生地が破れる事故につながるため厳禁です)
- 乾かす:5時間以内を目安に、風を使って早く乾かす
- 清潔に保つ:月1回の洗濯槽クリーナーで、菌の温床を作らない
菌そのものをゼロにすることはできませんが、増やさない環境を作ることで、嫌なニオイとはサヨナラできます。 ぜひ試してみてください。
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参考文献
- 花王株式会社「洗濯後に発生する衣類の悪臭の原因菌を解明 ─モラクセラ菌が衣類に残り、雑巾様臭を発生─」(プレスリリース、2011年5月26日)
- 愛知学院大学薬学部 微生物学研究室(河村好章教授・当時)における Moraxella osloensis に関する研究
本記事の数値について
温度・時間・濃度はあくまで目安です。衣類の素材、洗濯機の機種、給湯設備、室内環境などにより最適な条件は変わります。実際にお試しいただく際は、必ず洗濯表示と各機器の取扱説明書をご確認ください。