服別・洗い方

革ジャンは洗濯できる?レザーの失敗しないお手入れ(本革・合皮)

ジャケットやスカート、パンツなどに使われるレザー。本革や合皮などさまざまな種類があって、お手入れが難しそうというイメージを持っている方も多いと思います。

実際、本革や合皮を下手に洗おうとすると、縮む・劣化するといったトラブルが起こります。特に、本革は高価なことが多いので、一度の失敗で二度と着られなくなるのは絶対に嫌ですよね。でも、かっこよく着るためにも、汚れは落としてきれいにしておきたい!

この記事では、レザーの特徴やそもそも洗濯できるかどうか、種類に合わせたお手入れをご紹介します!

レザーってどんな素材?

一般にレザーと呼ばれているのは本革(天然皮革)ですが、本革に似せて作られた合成皮革(以下、合皮)もあります。

本革とはどのようなものか

本革は、動物の皮をなめして作られる素材。なめしとは、皮から毛や脂肪などを取り除き、薬品処理により腐りにくく、柔らかくする工程のことです。

本革は、次のような特徴がある素材です。

  • 仕上がりが重厚で高級感がある
  • エイジング(経年変化)が楽しめる
  • 持ち主のシルエットになじんでいく

一方で、天然の素材なので、次のような注意点もあります。

  • お手入れしないと乾いてひび割れてしまう
  • 水に弱く、シミになりやすい
  • 高価である

合皮とはどのようなものか

合皮は自然素材ではなく、本革に似せて人工的に作られた合成素材。基布に合成樹脂をコーティングして作られます。「ヴィーガンレザー」と呼ばれる素材も、合皮の一つです。

合皮には次のような特徴があり、本革の欠点を補うメリットもあります。

  • 汚れにくく手軽に拭けるので、お手入れがしやすい
  • 安価である

一方で、経年劣化などのデメリットもあります。

  • 熱に弱く、変形や変色を起こす
  • 経年劣化で、製造されてから2〜3年でボロボロになるものが多い

本革が高価な理由

合皮に比べて、本革には高価なものが多いです。その主な理由には、革自体が希少なことと、革の製作工程に手間と時間がかかることが挙げられます。

革自体が希少だから

一般的に、採れる面積が少なく、美しさや丈夫さといった特長が際立つ動物の革ほど高価になります。

例えば、馬革、羊革、ワニ革といった革は高級品に当たります。ポピュラーな牛革は比較的価格が安いですが、牛革の中でも若い牛の皮を使った牛革は、流通量が少ないため高価です。

革を製作するのに手間と時間がかかるから

動物の皮のなめし作業には、多くの工程と時間がかけられます。

クロムなめしという方法では1日〜数日で作業が済むことが多いですが、伝統的なタンニンなめしと呼ばれる方法では、なめすのに数ヶ月かかることもあります。

タンニンなめしで作られた革は、色の深みが増していくエイジング(経年劣化)を楽しめるというメリットもありますが、より高価になってきます。

本革(レザー)・合皮は洗濯できるの?

結論からいうと、本革を洗濯することは不可能です。合皮は洗濯ができるものもありますが、自宅で洗うと失敗することがあります。

ここでは、自宅で本革や合皮を洗濯した場合に起こりうる失敗例をご紹介します。

本革の洗濯の失敗例

本革の表面が乾燥してカサカサになる

本革は、生地に含まれる天然の油によってそのしなやかさを保っています。

一度水洗いしてしまうと、その油が洗い流されてしまい、乾くと表面がカサカサになってひび割れてしまう恐れがあります。

熱で縮む

本革は熱に弱い素材です。お湯で洗ったり乾燥機にかけたりすると、大きく縮んでしまいます。

合皮の洗濯の失敗例

ボロボロになる

合皮は経年劣化を避けられない素材のため、数年で加水分解を起こして劣化してしまいます。

劣化した合皮を洗濯すると、洗濯の工程で少し揉むだけでもボロボロになってしまいます。

熱で変形する、ひび割れる

合皮も熱に弱い素材です。乾燥機にかけると、溶けて変形してしまったり、ひび割れたりして、寿命を縮めてしまう恐れがあります。

大切な本革・合皮の衣類は専門のクリーニングへ

本革は、そもそも洗濯自体がNGな素材です。合皮であっても、知識がない人が強引に洗うと、先ほど紹介した失敗例のようなことが起こりかねません。

本革や合皮をしっかりケアしたい場合は、状態を見極めた仕上げ方をするための専門知識が必要なため、プロに任せるのがベストです。

例えば、宅配クリーニング「リネット」は、本革や合皮のクリーニングも受け付けています。

本革(レザー)・合皮の汚れの落とし方

本革や合皮のクリーニングは、専門のクリーニング会社に任せることになるため、料金が高額になります。ちょっとした汚れを落としたいときに、高いお金を払うのはちょっと……と思う方も多いのではないでしょうか。

自宅で丸洗いすることは基本難しいですが、ポイントを押さえれば、汚れを落とすことはできます。本革と合皮に分けて、汚れの落とし方をご紹介します。

本革と合皮の見分け方

そもそも、本革か合皮かわからないこともありますよね。2つを見分けるには、衣類についている品質表示のタグを確認しましょう。種類によって、次のような表記になっています。

  • 本革:「牛革」「馬革」「羊革」など、材料の種類の通称を示す用語で表記
  • 合皮:「合成皮革」と表記

もちろん、日本国外で作られた製品についてはこの限りではありません。例えば英語で書かれた品質表示だと、本革には「HORSE LEATHER(馬革)」「PIG SKIN(豚革)」など動物の名前が入っていたり、合皮には「SYNTHETIC LETHER(合皮)」といった表記がされていたりします。

本革の汚れの落とし方

本革の汚れを落とすときは、レザーソープを使って拭く手段があります。

レザーソープを使う際のリスクについて

レザーソープを使って拭くと部分的にはきれいになりますが、拭いたところと拭いていないところの差が出てきてしまうリスクがあります。がんばって全体をお手入れしても、本革の特性上、色ムラができてしまうことも。

そのため、大切な衣類は自分でお手入れせずに、一部分が汚れている場合でもクリーニングに任せるのがおすすめです。クリーニングでは最終工程で色付けして、全体の色調を整えるので、色ムラがある状態で仕上がる心配はありません。

用意するもの

  • 乾いた布
  • レザーソープ
  • 皮革用クリーム 

汚れを落とす前のテスト

レザーソープを使う前には、必ずテストを行い、シミになったり、色落ちが起こったりしないかを確認しましょう。テストは次の手順で行います。

  1. 乾いた布にレザーソープをなじませて、本革の目立たない部分を優しく拭きます。
  2. もしシミになったり、色落ちが起こったりしたら、レザーソープの使用は避けます。乾いた布で乾拭きするか、クリーニングにお任せしましょう。

また、動物の革を使っている本革の特性上、テストで問題がなくても他の部分ではシミや色落ちが起こるリスクもあります。

汚れを落とす手順

  1. 汚れの部分を、乾いた布で優しく乾拭きします。
  2. 1.で汚れが落ちない場合、乾いた布にレザーソープをなじませて、汚れを優しく拭きます。擦るのはNGです。
  3. 陰干しして、自然に乾燥させます。

合皮の汚れの落とし方

合皮のほとんどは水洗いNGですが、中には水洗いしてもよいものもあります。

洗濯表示で次の表示がある場合は、水洗いしてOKです。ただし、合皮の風合いを守るためにも、洗濯機で洗うのは避けて手洗いしましょう。

また、合皮で注意すべきなのは、経年劣化。保管環境などにもよりますが、合皮は数年で経年劣化してしまいます。表面がベタベタしていたり、ひび割れなどの傷みがある場合は、洗濯やお手入れをするとボロボロになってしまう恐れがあるのでやめましょう。

劣化しているかどうか判断ができないときは、洗濯を避けてくださいね。

また、次の洗濯表示がある場合は、自宅で洗うのはNGです。後ほど紹介する、汚れを拭き取って落とす方法で落としましょう。

洗濯できる合皮の洗い方

洗濯表示で水洗いOKで、経年劣化の心配もなさそうなら、次の手順で手洗いしましょう。

用意するもの

  • 洗濯ネット
  • 洗面台(風呂桶でもOK)
  • 30℃以下の水(水温が高いと縮みやすくなるため、お湯はNG)
  • おしゃれ着用洗剤
  • 柔軟剤
洗う手順
  1. ジャケットなどの場合は、ファスナーやボタンを全て閉めておきます。
  2. 合皮の衣類をきれいにたたみ、ぴったりサイズの洗濯ネットに入れます。
  3. 洗面台に、水と規定量のおしゃれ着用洗剤を入れて、手でかき混ぜ、洗剤水を作ります。
  4. 2.を3.の中に沈めて、手でやさしく「沈める」「浮かせる」を2〜3回繰り返して洗います。
  5. 5分ほどつけ置きします。汚れが気になる場合は10分ほどつけ置きしましょう。
  6. 洗剤水を捨てて、洗濯ネットに入れたまま押して絞ります。
  7. 洗面台に水を張り、手でやさしく「沈める」「浮かせる」を4~5回繰り返してすすぎます。水を替えて、もう一度すすぎます。柔軟剤を使うときは、2回目のすすぎ時に入れるようにしましょう。
  8. 合皮の衣類を洗濯ネットに入れたまま、洗濯機に入れて脱水します。洗濯機の一番弱い設定(「弱脱水」など)で30秒〜1分と、短い時間で脱水しましょう。z
干し方

干す前にひと手間加えることで、仕上がりがきれいになります。

表面がツルツルしているタイプの合皮は、表面の水分を乾いた布で拭き取りましょう。水分がシミになることを防ぐことができます。

表面が起毛しているスエードタイプの合皮は、乾かす前に毛並みを整えておくとよいです。馬毛ブラシで一定方向にブラッシングするか、手で毛並みを整えましょう。

その後、衣類の種類に合わせた形で干します。ジャケットの場合は、大きさや厚みの合ったハンガーに吊るして陰干ししましょう。スカートやパンツの場合は、ピンチハンガーで筒のように吊るして陰干しすると、きれいな形で干すことができます。

ちなみに、直射日光に当てたり、乾燥機にかけたりするのはNGです。合皮の寿命を縮めてしまいます。

洗濯できない合皮の汚れの落とし方

洗濯できない合皮は、おしゃれ着用洗剤を使って拭くことで汚れを落とすことができます。

用意するもの
  • おしゃれ着用洗剤
  • 水(お湯はNG)
  • 乾いた布3枚
汚れを落とす手順
  1. 水と規定量のおしゃれ着用洗剤を混ぜて、洗剤水を作ります。
  2. 布を1.に浸して、固く絞ります。
  3. 合皮の衣類の表面を2.で優しく拭き取ります。
  4. 別の布を水に浸して固く絞り、3.で拭いた部分を拭き、洗剤を落とします。
  5. 最後に、乾いた布で水分を拭き取ります。
  6. 陰干しで自然に乾燥させます。

本革(レザー)・合皮のお手入れ方法

本革や合皮は洗うのが難しい分、普段からお手入れで汚れを落としておくのがベスト。さらに本革の場合は、放置すると油分を失ってひび割れの恐れがあるので、定期的なメンテナンスが大切です。

本革のお手入れ

ブラッシングで汚れを落とす

着用後は、ブラッシングをして表面の汚れを落としましょう。

本革のブラッシングには、合成繊維のブラシや豚毛ブラシではなく、馬毛ブラシがおすすめ。馬毛ブラシは毛が細くて柔らかく、本革を優しくお手入れすることができます。

馬毛ブラシがない場合は、乾いた柔らかい布でもOKです。

定期的にクリームでケアする

本革は、定期的に油分を補給することで、質感やつやを長く保つことができます。

ご紹介した「本革の汚れの落とし方」や、ブラッシングで汚れを落とした後に、皮革用クリームを塗って油分を補給してあげましょう。

用意するもの
  • 皮革用クリーム
  • 馬毛ブラシ
  • 乾いた布
手順
  1. 指に皮革用クリームを少量とり、本革に塗り込みます。
  2. 2〜3分後、馬毛ブラシで軽くブラッシングして余分なクリームを除き、なじませます。
  3. 乾いた布で乾拭きして、つやを出します。
ケアするタイミング

クリームで油分を補給するタイミングは、着用する頻度によっても異なります。次のようなタイミングでケアをするのが目安です。

  • 長期保管をする前
  • 着用する機会が少ないものは、年に1回
  • 日常的に着用しているものは、シーズン(3ヶ月)に1回

濡れたら水分を拭き取って、クリームでケアする

雨や水に濡れたまま放置すると、湿気が原因でカビが生える、干したときに乾燥して変形するといったトラブルの恐れがあります。

濡れてしまったらなるべくすぐに水分を拭き取って、油分を補給してあげるのが大切です。

  1. 乾いた布で水分を拭き取ります。擦らずにぽんぽんと叩くように拭き取るのがポイントです。
  2. 陰干しをします。
  3. 半乾きの状態で皮革用クリームを薄く塗ります。
  4. 陰干しで完全に乾燥させます。

合皮のお手入れ

ブラッシングで汚れを落とす

着用したあとは、馬毛ブラシでブラッシングをして表面の汚れを落としましょう。

馬毛ブラシは毛が細くて柔らかいので、デリケートな合皮をお手入れするのに最適。馬毛ブラシがない場合は、乾いた柔らかい布でもOKです。

濡れたら水分を拭き取る

合皮を雨や水に濡れたまま放置するのはNG。水と化学反応を起こして加水分解を起こし、劣化を早めてしまいます。水分が付着した場合は、すぐに拭き取るようにしましょう。

  1. 乾いた布で水分を拭き取ります。擦らずにぽんぽんと叩くように拭き取るのがポイントです。
  2. 陰干しをして、完全に乾燥させます。

レザーは洗濯ではなく、定期的なお手入れで長く愛用しよう

一般にレザーと呼ばれているのは本革ですが、本革に似せて作られた合皮もレザーと呼ばれることがあります。本革は動物の皮から作られ、合皮は本革に似せて人工的に作られた素材のため、それぞれ特徴が異なります。

本革は自宅で洗うのが難しいため、基本的には洗濯NGです。汚れを落とすときは、レザーソープなどを使って拭き取るようにしましょう。合皮の中には水洗いできるものもありますが、洗濯機で洗わずに優しく手洗いしましょう。

本革や合皮の衣類をきれいに保つには、普段からのお手入れが重要。ブラッシングで汚れを落としつつ、雨に濡れたら水分を拭き取ります。本革の場合は、皮革用クリームを使って定期的に油分を補給してあげるようにしてくださいね。

  • この記事を書いた人

リネットマガジン編集部

リネットマガジンの編集・執筆担当。面倒くさがりの「ナマケモノ」ゆえに、効率よく省エネで生きることには熱心。 お洗濯がメンドクサイと思っている仲間のために、「時短で、ラクに、キレイになるリアルに使える洗濯術」を紹介しています。

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