毎日のようにスーツを着用する人も多いはず。しかし、スーツをクリーニングする頻度や適切な出し方、料金までわかっている人は意外と少ないかもしれません。そんなスーツのクリーニングについての疑問を解消するべく、リネットお洗濯アンバサダーの近藤さんにお話をうかがいました。
この記事では、クリーニングのプロが「スーツのクリーニングの疑問やお悩み」をまるっと解消します。
クリーニング頻度や料金の相場から、スーツを長持ちさせる「家でのお手入れ方法」も詳しく紹介しています。1着のスーツを長くきれいに着られると、トータルでコスパもいいですよ。
目次
スーツのクリーニング方法は2種類

スーツのクリーニング方法は2種類あります。
汚れ落ち、形崩れ、料金など総合的にみて「ドライクリーニング」がおすすめです。
ドライクリーニングとは?
ドライクリーニングとは、水は使わずに「石油系溶剤」を使って洗うクリーニングです。水洗いよりも、衣類にやさしいのが特徴です。
ドライクリーニングの特徴1:衣類にやさしい
- スーツなどが形崩れしにくい
- 風合いを損ねない
- 衣類の縮み、色落ちが起きにくい
ドライクリーニングの特徴2:スーツにつきやすい汚れを落とせる
- ドライ専用の洗濯機で洗えるので、汚れが落とせる
- 皮脂汚れ、油汚れなどの「油溶性の汚れ」が落とせる
- ホコリや泥、花粉、PM2.5など水にも油にも溶けない「不溶性の汚れ」が落とせる
- ただし、汗染み、飲み物汚れなどの「水溶性の汚れ」が落としにくい
ドライクリーニングについてもっと知りたい方は、ドライクリーニングの洗浄工程をご覧ください。
ウェットクリーニングとは?
ウェットクリーニングとは、水洗いのソフトなタイプのクリーニングです。
普通ならドライクリーニングで洗う衣類を、水溶性の汚れが多い場合などに、ぬるま湯で中性洗剤を用いて洗う方法です。
プロによる「つけ置き洗い」と考えると、わかりやすいと思います。
ウェットクリーニングの特徴1:高度な技術が必要
- 本来ドライクリーニングで洗う衣類を水洗いするので、形崩れや色落ちさせない高度な技術が必要
- クリーニング料金は高め
ウェットクリーニングの特徴2:汗染みに効果的だが、洗浄力は弱め
- つけ置き洗いのため、洗浄力が弱め
- 汗染み、飲み物汚れなどの「水溶性の汚れ」が落としやすい
- 皮脂汚れ、油汚れなどの「油溶性の汚れ」が落としにくい
- ホコリや泥などの「不溶性の汚れ」が落としにくい
スーツはドライクリーニングをおすすめする理由
スーツの汚れを見ると、約9割が「不溶性」と「油溶性」の汚れです。
肌に直接触れるワイシャツなどと違い、スーツはホコリや泥など「不溶性の汚れ」が多いのが特徴です。
つまり、汚れ落ちの観点からも、スーツのクリーニングはドライクリーニングが理にかなっていると言えるんです!

※参考文献:繊消誌1996年37巻4号 pp.157-161
スーツで汗染みを落としたい時は?
ここまで読んでみて、全部の汚れが落とせるクリーニングはないの?と思った方もいるかもしれませんね。
そんな方には以下の方法がおすすめです。
- 基本は「ドライクリーニング」でスーツをお手入れしながら、「汗抜き加工」オプションをつける
- 基本は「ドライクリーニング」でスーツをお手入れしながら、たまのお手入れで「ウェットクリーニング」をする
1.の方が、クリーニング料金はトータルで安くなるのでおすすめです。
宅配クリーニング「リネット」では、ドライクリーニングなのに、水溶性の汚れも落とせる「ディープクレンジング(汗抜き加工)」オプションが人気!
洗い上がりがさっぱりするので、汗染みやニオイが気になる人はぜひ試してくださいね。
水洗いできる「ウォッシャブルスーツ」とは?
ウォッシャブルスーツは、水洗いできるスーツです。メーカーによって定義はさまざまですが、家の洗濯機でガシガシ水洗いできるものから、手洗い推奨のものなどがあります。
スーツに以下の「水洗い可」の洗濯表示があれば、家で洗濯できます。手のマークは手洗い推奨です。洗濯機ではなく、手洗いで洗いましょう。

家庭で洗えるからといって、ウォッシャブルスーツを普通の衣類のように洗濯するのはNGです。通常のスーツに比べると形崩れしないという特徴がありますが、普通に洗濯をすると、縮んでしまったりシワがひどい状態になってしまうことも。
スーツは必ず洗濯ネットに入れて、中性の「おしゃれ着用洗剤」で洗いましょう。
詳しい洗い方を知りたい方は、洗えるスーツの洗い方と注意すべきポイントをチェックしてください。
スーツのクリーニング頻度はどのくらいがベスト?

スーツのクリーニング頻度は「汗の量」で決める
クリーニングの頻度は ”汗の量” が大きなチェックポイントになります。
そのため汗をよくかく夏や、汗っかきの方は、クリーニングに出す回数を増やした方がベターです。
- 汗っかきの人…最低でも2週間に1回のクリーニング(3〜5回着用したらクリーニングが理想)
- 汗っかきじゃない人…シーズン中に2〜3回のクリーニングが目安(5〜7回着用したらクリーニングが理想)
- ワンランク上のクリーニングをしたい人…クリーニングの3回に1回は「汗抜き加工」をつけるのがおすすめ。
リネットのオプション「ディープクレンジング(汗抜き加工)」は、汗汚れなどの水溶性の汚れを落とし、洗い上がりがさっぱりします。
汗染みやニオイが気になる人はつけてくださいね。
汚れたらすぐにドライクリーニングが鉄則
紹介した季節ごとの頻度は普段スーツにブラッシングや陰干しをして、しっかりケアをしているのが前提の場合。ケアをしっかり行なっていないという人は、クリーニングに出す頻度をもう少し増やすか、おうちでのケアを心がけるようにしましょう。
雨や雪でスーツが濡れてしまったり、飲食物をスーツにこぼしてしまったときなどは、カビが生えてしまう可能性もあるので、早めにクリーニングへ。
飲食店でついてしまう油の臭いが気になるときも、早めにドライクリーニングするようにしましょう。

こまめにクリーニングに出すことで、結果的に長くきれいに着られるので、トータルで見たらコストの面でもおすすめです。
スーツのクリーニングにかかる日数、料金・値段の相場
クリーニング店の種類
クリーニングの業態は、主に2種類です。仕上がり期間や料金、預け受け取り方法などを比較し、自分に合ったクリーニング店舗を選びましょう。
- 店舗クリーニング…対面での受け渡しが基本。その場でスタッフとやりとりできる。
- 宅配クリーニング…自宅で受け渡しが完結するのが特徴。重い荷物を運びたくない人や忙しい人におすすめ。
クリーニングにかかる日数
クリーニングの仕上がり期間の目安は、店舗と宅配で異なります。
- 店舗クリーニング…約2〜3日で仕上がり
- 宅配クリーニング…約5〜7日で仕上がり
短納期のサービスを行なっている店舗では翌日仕上がりや、当日の朝10〜11時までに出せば、当日の夕方17〜18時に仕上がるという店舗もあります。
「リネット」は、宅配クリーニングだけど最短2日でスピーディーにお届け!店舗に並ぶ必要もないので忙しい人にはぴったりです。

店舗と宅配クリーニングの料金の違いとは?
お店の立地や場所によって人件費(最低賃金)も異なるため、都心と地方によって料金が異なります。
相場については、スーツの上下セットのクリーニング料金は「1,423円(税込)」(東京都区部)でした。
※クリーニング料金は2022年12月時点。参考:クリーニングオンライン
一般的には店舗の方が料金が安く、早く仕上がることが多いですが、時間を見つけていちいち受け取りに行かなくてはいけない手間や労力を考えると、宅配クリーニングもおすすめです。
宅配クリーニング「リネット」なら、24時間ネットで受付ができ自宅から出ずにクリーニングが完結するので、時間・労力がかからない上に自分の生活リズムに合わせてクリーニングを活用できます。
まだ、自宅にいたままクリーニングを利用されたことのない方は、宅配クリーニング「リネット」体験談を参考にしてみてくださいね。
スーツのクリーニング、出す前に気をつけることは?
スーツをクリーニングに出す前に、必ず確認してほしいポイントが3つあります。
ポイント1:必ず、ジャケットとズボンをセットで出すこと
ジャケットだけが汚れたので、上だけをクリーニングに出すという方も多いかもしれませんが、できれば上下セットでクリーニングに出すようにしましょう。

家で洗濯をする場合と同様、クリーニングでも洗浄や乾燥を行う工程の中で、上下で風合いに多少の変化が起きる場合があります。
スーツを着用したときに違和感を感じることがあるので、必ず上下セットで出すようにしてください。
クリーニング店によっては、上下別だと受け付けない店舗もあるので注意しましょう。
ポイント2:ポケットの中身をチェックすること
例えば、ポケットにボールペンが入っていたままクリーニングをしてしまったら、スーツにインクがついてしまった……ということもあります。
クリーニング店でも必ず洗浄前にポケットの中身をチェックしていますが、意外なところにポケットがあるスーツもあるため、チェックが行き届かない場合も。
クリーニングに出す前に、ポケットの中身は必ずチェックするようにしましょう。
ポイント3:シミや傷みの有無などを事前に確認し、注文時にお店に伝えること
スーツ限らず、出した衣類の状況はクリーニングに出す前に把握しておくのが基本です。
クリーニング店によっては、シミ抜きに別料金がかかることもあります。事前にシミの箇所をお店に伝えておけば、お店側も安心してクリーニングすることができます。
リネットの場合は、注文ページに要望欄があるので、そこに記入しましょう。
スーツをきれいに長持ちさせるホームケアも覚えよう
スーツのクリーニング頻度を減らすには?
お気に入りのスーツを長持ちさせるためには、ホームケアも必要です。お手入れがしっかりしていれば、クリーニング頻度を減らすこともできて家計にも優しいですよ。
スーツのジャケットは肩のしっかりしたハンガーに吊るす

スーツを脱いだら放置せずに、肩のしっかりしたハンガーに掛けることで形崩れを予防できます。
スーツのシワは着用するとある程度伸びますが、脱いだままの状態のシワは直らないことがあるので、必ずスーツはハンガーにかけてください。
スーツのパンツはピンチで挟んで吊るす
スーツのパンツは、裾をピンチで挟んで吊るすと腰回りの重さで、着たときシワが伸びます。
アイロンの時短にもなりますよ。
スーツはブラッシングする
スーツを着た後は洋服ブラシでブラッシングをして、ホコリや食べ物のカスをきちんと取りましょう。
スーツの湿気を取ってからしまう

スーツはハンガーにかけて、風通しの良いところで湿気をとってあげることが大切です。
湿気の高いところで保管したり、汗や雨などで湿ったままのスーツをクローゼットにしまってしまうと、カビの原因になったり、ズボンのラインがとれたりする恐れも。
スーツは陰干しする

湿気を取るために、日光に直接当てるのはNG。スーツは陰干ししてください。スーツが変色してしまうことがあります。
スーツの素材別のお手入れ
自分が着用しているスーツを確認して、素材にあったケアを行うのも大切です。素材別のお手入れ方法もチェックしましょう。
綿・麻
汗で変色や色落ちがしやすいので、定期的にクリーニングに出すことをおすすめします。
特に汗をよくかく時期には、長い間放置せずにこまめにクリーニングに出すようにしましょう。
毛(ウール)
ブラッシングをしてホコリや食べこぼしのカスなどを取りましょう。ブラッシングすることでテカリを抑える効果もあります。
スーツと同様に、ワイシャツの汚れも落としたいという方は、ワイシャツの黄ばみや黒ずみの原因とキレイに落とす方法をご覧ください。
また、クリーニングで「撥水加工」をプラスして、汚れをブロックするのもおすすめです。撥水加工には、毛や綿、麻、ポリエステルなどといった素材に関わらず、雨や雪、食べこぼしから衣類を守ってくれる効果があります。花粉からも衣類を守ってくれるので、春先にもぴったりの加工です。
撥水加工については、市販の撥水スプレーとクリーニングの撥水加工の比較にて詳しくお伝えしています。
スーツにカビが生えてしまったらどうする?原因と対策は?
スーツのカビの原因は?
スーツなどの衣類のカビの原因となるのが、汚れと水分。
汗や雨に濡れた衣類をよく乾かさずにしまっていたり、衣類を洗わずに気温や湿度が高い状態で長期間保管しているとカビの発生リスクが高まります。条件にもよりますが、早くて数日から数週間でカビが発生することも。
さらに、濡れた衣類が密閉された空間に入っているとクローゼット全体の湿度が上がり、カビが発生しやすい環境になってしまうので、生乾きの衣類はしっかり乾かしてからしまいましょう。
また、汚れの中でもカビが好むのは、タンパク質と糖質。気がつかないうちに飲み物や食べ物、皮脂の汚れなどがついている服はカビの発生リスクを高めるので気をつけましょう。
スーツのカビ、予防と対策は?
一度衣類にカビが生えてしまうと繊維の奥まで根を張ってしまうため、カビを落とすことが難しくなります。洗ったあと「見た目で落ちた」と思っていても、少し経つとカビが再発生してしまうこともあるんです。
まずは、スーツにカビを発生させない日ごろの衣類ケアが重要。カビの原因となる汚れと水分を取り除くことがポイントです。次の4つを守りましょう。
- 着たあとはハンガーに吊るし、乾燥させてからしまう
- ブラッシングで表面の汚れを取り除く
- 汚れがついてしまったらなる早でクリーニングへ
- 衣替えなどの長期保管前はクリーニングがマスト
衣類のカビ対策を詳しく知りたい方は、服の黒カビの原因と取り方を確認してくださいね。
スーツのカビはクリーニングで落とせる?
それでも「気づいたらカビが生えていた…」なんてこともありますよね(涙)
スーツにカビが生えていたら、すぐにクリーニングへ出しましょう。
ただし、クリーニング店やスーツの状態にもよりますが、カビの種類によって、クリーニングで落とせるカビと、落とせないカビがあります。
- 白カビ…衣類の表面についていることが多いので、クリーニングで落とせることが多い
- 黒カビ…繊維の奥まで入り込んでいるので、クリーニングで落とせない可能性が高い
リネットでは、カビがついてしまった衣類には、無料シミ抜きとクリーニングを行っています。衣類の状態にもよりますが、白カビは落とせる場合が多いです。
※ただし、カビが生地や染色を変質してしまっている場合は、落とすことが難しいです。

スーツのクリーニングが終わったら正しく保管しよう
スーツを保管する場合には、クリーニングをしてから保管するようにしましょう。 シミなどが残っていると、虫食いやカビの原因になってしまいます。
スーツの保管方法1:ビニールカバーは外す

クリーニングからスーツが返ってきたら、すぐにビニールカバーは外し、仕上がりを自分の目で確認しましょう。
スーツの保管方法2:ジャケットの形に合ったハンガーに吊るす
ジャケットのシルエットに合わないハンガーに長時間保管していると、形崩れを起こしてしまう可能性もあります。
クリーニングに出したときに、洋服の形に合っていないハンガーで戻ってきたときは、スーツのサイズや形に合ったハンガーにすぐに変えるようにしましょう。
スーツの保管方法3:パンツは専用ハンガーに吊るす
スーツは上下ともにシワがつきやすく、形崩れもおこしやすいのでハンガー保管が基本です。
クリーニングから戻ってきたら、パンツをきつく挟まない「パンツ専用ハンガー」へ掛け替えて、折りジワを予防しましょう。

スーツの保管方法4:たたむ場合は折り目を少なくする
スーツをたたんで保管しなければならない場合は、折り目を少なくするといいでしょう。
必要以上に折りジワがつくのを防げます。
スーツの保管方法5:クローゼットを換気する

定期的にクローゼットを換気することで、湿気対策になります。
また、空気が循環するようにぎゅうぎゅうに詰めすぎないことが大切です。ゆったり収納を心がけましょう。
日々の仕事で忙しい中クリーニング店に行くのが面倒な方は、リネットの自宅にいたままクリーニングがおすすめです。WEBやアプリから24時間お申し込みができて玄関まで取りに伺いますので、今までクリーニングにかけていた労力が激減できます。

また、無料でシミ抜きを行なっていますので、ぜひこの機会にお試しください。
スーツを上手にクリーニング・お手入れして、長くきれいに着よう
スーツのクリーニングの基本とお手入れ方法をご紹介しました。
スーツに合ったクリーニングの種類や頻度、料金やかかる日数を知っておくことで、より適切なケアができるはず。また、普段のお手入れや保管方法を意識することも、1着をきれいに長く着ることに繋がります。
お気に入りのスーツを状態よく保つために、上手にクリーニングを使ってくださいね。